源義家公ご創建の当八幡神社は、平成二十九年に御鎮座九百六十年を迎えた古社です。

いにしえは弓矢八幡、現代では厄除け八幡として信仰されています。母子神信仰から、安産・子育ての神様としても多くの氏子・崇敬者の方々がお参りされます。

吹く風を勿来の関と思へども

道もせに散る山桜かな

(源義家・千載和歌集)

 当神社は文武に秀で不世出の英雄として敬慕された源義家公によってご創建されたお社です。
ご社殿脇には義家公お手植えと伝えられる姥杉(男杉と女杉)が高々とそびえ,千年の時を刻んでいます。
巨樹や老樹におおわれたご神域にたたずむとき,神々しさに自ずと心が清められ,ご神徳のかたじけなさに身が引き締まります。一万坪に及ぶ境内は「伝説と巨木の森」として氏子の方々によって大切に受け継がれています。神祭りの昔の手ぶりを見つめ直し,祈りの姿を通じて日本人としての誠の心の豊かさを感得したいものです。このホームページをご覧になりました皆様方のご多幸とご繁栄をお祈り申し上げ,ごあいさつとします。

(八幡神社宮司  白旗 宏喜)

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八幡神社の由来

Origin of Uwanuma Hachiman Shrine

八幡神社の由緒

宮城県登米郡中田町上沼八幡山に鎮座する八幡神社は、平安時代中期に源頼義公・義家公父子が、京都の石清水八幡宮を勧請した神社です。
鎮守府将軍であった頼義公と、その子義家公は、前九年の役に際し天喜5年(1057)と康平年中(1058~1065)の二度にわたり当地に陣を構えました。その際、義家公が祭壇を設け八幡大神を勧請し戦勝を祈願したところ、霊夢を得て、激しい戦いの末に勝利を収めることができました。八幡大神の守護に深く感謝し、凱旋にあたり治暦年中(1065~1069)、あらためてこの地をえらび境内を寄進し、「八幡守本尊」を奉祀し武具を納め、一社を創建したことに始まります。

旧社格等については、明治6年5月2日、村社に列せられ、同40年3月1日には神饌幣帛料供進社の指定を受けています。さらに、昭和4年8月に神饌所が造営され、同年9月14日、郷社に列せられました。

近年にいたって、昭和61年、当社に伝わる「加茂流法印神楽」とご神木である義家公お手植えの「姥杉」2本、そして鎮守の森を形成する「古木群生林」が、相次いで中田町文化財に指定されました。

平成の御世に入ってからは、平成3年に御大典奉祝記念事業として高さ12Mの大鳥居の造営、同12年に新社務所の造営、同13年には中田町の補助を受け「姥杉」保護事業の開始(16年3月完了)、平成14年度には「加茂流法印神楽」が文部科学省ふるさと文化再興事業・地域伝統文化伝承事業の対象となり、また同16年2月には御本殿、同17年1月には随神像2躯がそれぞれ中田町文化財の指定を受けるなど、境内の整備および文化財の保護が一層進んでおり、町内の氏子の方々はもとより、県内・県外各地の崇敬者の方々の参拝が絶えません。

ご神木 姥杉うばすぎ

男杉
高さ 25メートル
根本周囲  6メートル58センチ
目通り 5メートル60センチ
樹齢 950年(推定)

女杉
高さ 28メートル70センチ
根本周囲  7メートル75センチ
目通り 6メートル
樹齢 950年(推定)

八幡神社御神木の第一。拝殿に向かって左側、拝殿と神饌所を結ぶ回廊を隔てて聳立しています。当社創建の折、源氏の武運長久を願って源義家公がお手植えされたと伝えられています。『風土記御用書出』〈安永三年(1774)〉上沼村の項には、
一 名木 貳本
八幡社内
一 男杉 壹本 廻リ壹丈五尺
一 女杉 壹本 廻リ壹丈五尺
と記されており,明治時代には「姥杉」と称されるようになりました。昭和61年10月31日、中田町文化財に指定されています。
老樹のため、20年ほど前から枝や梢に枯れが目立ち始め、樹勢回復のための保護治療が急務となりました。治療費は2本で約1100万円。町の補助と、「姥杉を守る会」の募金活動で賄われました。枯死した枝の剪定や保護のためのシリコン注入、防腐剤塗布などの「外科的治療」と、土壌改良などの「内科的治療」が施され,男杉は平成13年3月に、女杉は平成16年3月に治療が完了し、見事に樹勢が回復しています。
大鳥居

大鳥居は、高さ12メートル、間口7.7メートル、上部の笠木の長さ16メートルの鉄製で、神社の950年祭の記念事業の一環として建設され、平成3年完成しました。神社にある鳥居としては代表的な明神鳥居と呼ばれる形で、東北でも有数の規模です。氏子のみなさんはもちろん、町外に住む方々からもたくさんの寄付が寄せられました。

年中行事

1月1日 歳旦祭(初詣各種祈願祭)
獅子舞奉納

1月14日 どんと祭

竹とともに古い御神札・しめ縄・門松・正月飾りなどを焼納し、御神火でお餅を焼いて食べ、身を清めて1年の平安と健康を祈願する神事です。当社では昭和56年より斎行されています。

2月11日  紀元祭

2月17日  祈年祭 (豊作祈願)

3月第1日曜 初午無火災祈願祭

4月15日  春季例祭

9月15日  秋季例祭
前夜祭
加茂流法印神楽奉納
奉納剣道大会

9月    経壇森神明社愛宕社例祭

10月  招魂社祭

11月  七五三参り祈願祭

11月23日  新嘗祭(新穀感謝祭)

12月31日  大祓式

加茂流 法印神楽
所伝によると「法印神楽」は、仙台領内の北部〈岩手県東磐井地方〉に発祥したとみられ、後亀山天皇(位1383~92)の時〈康暦年中(1379~1381)とする伝もあります〉に滝澤道胤と申す者があり、西口(岩手県黄海村)の禰宜に伝え、同人が後に修験者となり不動院と改めるに及び、代々これを相伝えました。寛保年間(1741~44)西口から中田町上沼八幡山〈妙覚院白旗家〉に伝わったもので、当時は「西口流」と称していたといいます。その後延享3年(1746)京都出身で東叡山学頭の峻學が上沼村妙覚院に滞在したとき、良直・自海両人が彼について笛・太鼓・歌を学び、新たに種々の神楽様式等を伝授されたのが「加茂流法印神楽」と言われ、表神楽十五番、裏神楽十五番、秘伝神楽三番、併せて三十三番が伝承されています。 江戸時代中期から六ヶ院〈旧上沼村妙覚院、旧桜場村宝珠院、旧新井田村一乗院、旧黒沼村円珠院、旧水越村日光院、旧浅部村三寿院〉と呼ばれる法印集団により神楽座を構成し、各院の祭礼に神楽を演じてきたが明治初年の神仏分離令により修験宗が廃止となり、明治中頃まで演じられた神楽も法印だけの伝承ができなくなったため、大正5年、上沼八幡神社の氏子に伝え、現在に至っています。 この神楽は「流(ながれ)神楽」とも呼ばれ、岩手県の藤沢町や花泉町、宮城県の中田町や迫町などに分布していましたが、ほとんど江戸時代には途絶えてしまい、現在、中田町に「上沼加茂流法印神楽」と「日高見流浅部法印神楽」の2団体にのみ伝承されています。 法印神楽の基本となる足踏みの型や手印など、修験山伏の呪法に基づく極めて複雑な多くの様式を持ち、厳しい修練を要します。その基本となる舞型は神楽手続と呼ばれ、特殊な名称を記した神楽本が伝わり口伝で伝承されてきました。銅取が「神歌」を唱えながら太鼓を打ち、舞人は仮面をつけたまま、「神談議(かんなぎ)」というセリフを声高に唱えることによって神話の筋立てが展開されます。なお、楽人も舞人も両手の中指に九字印をつけて神楽を演じます。 当神楽は昭和49年までは旧暦8月15日に奉納されていましたが、昭和50年から9月15日の上沼八幡神社秋季例祭にて奉納されています。昭和61年3月28日、中田町文化財に指定されました。 「大乗飾り」と呼ばれる特殊な舞台飾りが、昭和4年を最後に行われていないため、正式な「大乗飾り」の復元を目指しています。
古木群生林(登米市中田町文化財)

境内全体が鳥獣保護区。約一万坪の境内には、樹齢数百年の松や杉、樅等、古木巨木が群生しています。これらの古木巨木は古来一本一本が御神木として仰がれ、子々孫々継承され、鬱蒼たる鎮守の森を形成しており,こうした御神域は県内でも稀有のものであり、その佇まいは荘厳にして清々しく、まさに神がいますにふさわしい神秘感が迫ってきます。この恩恵は、今日の我々のためのみにあるのではなく、遠い祖先の信仰を心とし、後世に伝えなければならないものです。
昭和61年10月31日、「姥杉」とともに中田町文化財に指定されました。

陰陽石
馬場先、現社務所の南にある。地上に二尺ほど突出し、左右に分かれ中央が細く括れている奇岩です。 『風土記御用書出』上沼村の項には、「名石貳ツ」として、次項に述べる駒踏み石とともに記載されています。 一 名石 貳ツ 八幡社内 一 陰陽石 形丸目ニ而高サ貳尺程幅三尺餘 また、十尺あまり堀り穿ってもその形を変ぜずともいわれています。通称を夫婦石といい、古来縁結びの霊石と崇められています。
駒踏み石(ひづめ石)

旧表参道にあります。源義家公が当地に陣を敷いた際、石に馬のひづめを当てたところ、
たちまちその形に変わったといわれています。
『風土記御用書出』には、名石として陰陽石とともに、
同社之内
一 ひつめ石 形丸目ほらニ而高サ貳尺五寸程廻リ壹丈四尺五寸程有リ之候
と記されています。

刀断石・鞍掛け石
 旧表参道にあります。刀断石は源義家公が一刀のもとに水平に切断した石と伝わっています。弓矢に大変優れ、清原武則をして「神明の変化」とまで言わしめ、存命中から神格化された義家公に相応しい武勇譚であります。  隣にある鞍掛け石は,源義家公が凱陣の際ここに鞍を置いたが、その鞍が石に変じたといわれています。

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